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梶田会長・門田医学会連合会長対談「新型コロナウイルス感染症に対する学術の取り組みと課題」

梶田会長と一般社団法人日本医学会連合の門田守人会長が新型コロナウイルス感染症に対する学術の取り組みと課題について対談を行いました。


(梶田会長)
 学術会議は当時の山極会長のもとに、まず3つの方針を決めさせていただきました。
一つは専門の分科会を設置すること、二つ目は分野横断的な審議により、俯瞰的で中長期的な提言や情報発信を行うこと、もう一つは専門性の高い学協会と連携して、最新の学術情報を社会へ発信すること、具体的には、去年の2月に大規模感染症予防・制圧体制検討分科会を設置しました。かなり異例のスピードで審議を行い、7月と9月に1件ずつ提言を出しています。
 幹事会としても、感染症予防に対する幹事会声明ということで発出しています。

(門田会長)
 我々とすれば、感染症云々というより、医療がだめになってしまえば、救えるものも救えなくなるし、医療を何とかしなきゃいかんと官邸に行って緊急提言させていただいた。国民をどういうふうに守らなきゃならないか、国民に正しい理解を求めなきゃならない。我々、現在138の学会が所属しているわけですけれども、そういうものを全部、情報を一つに集めて、医学会連合のホームページに来れば見られるという形にひとまずしようと、だんだんと今度は本当に次から次に変わったデータが出てくるし、今度は中でCOVID-19のエキスパートオピニオンというものをだしていく。
 まず国民、そしてそれをするために各学会との連携をするようになったということもありますけれども、実は2009年にですね、新型インフルエンザが流行ったとき、それから2011年の東日本大震災があったとき、もうすでにそのときから我々として日本としてやっておかなきゃならないことは相当なものがあるんだ、しなきゃならないんだというところからスタートしていたんですね。アメリカにありますCDCといって疾病予防管理センターというようなそういう類のものが日本にはない、そういう機能がない。
 官邸を訪れて、当時の安倍総理に対して相当強く提言したという経緯があったんですね。今でも何とかしなきゃいかんのではないのかというふうなことで、今年の1月には、ワーキンググループを立ち上げて、どういう準備をしていかなきゃならないのかということを、自分たちでやっていこうと国全体の方向性を見つめて準備していくという段階に来ている。

(梶田会長)
 長年の取り組みをされていたということについて、素晴らしいと思いました。
 やはり世の中誰もこの正体がわからない。こういうような感染症に直面したときに、国民の皆さんが不確かな情報、それにふりまわされている。そういうようなことを感じましたので、例えばアカデミーとして、こういうような状況でどういうことをすべきなんだろうと、我々としては、基本的には科学に基づいて、不確かなところもあるけれどもその点も含めて、なるべく正確な知識を皆さんに伝えること、それが我々の役目ではないかなと。

(門田会長)
 最後におっしゃられた、科学的なエビデンスというところが非常に我が国では遅れているというのか、今、会長がおっしゃられたことは、本当に今一番重要なことの一つではないかなというような感じがします。

(梶田会長)
 学術会議の立場としては、人文・社会科学から生命科学、理学・工学まで、広い分野をカバーしている俯瞰的な見方で、そして医学会連合さんの方からは現場にも関係した専門的な立場から発信していくという2つの違う立場ながらそれを一緒に発信できた。そのようなことで日本の科学界全体のメッセージが発信できたんじゃないかというふうに思います。

(門田会長)
 医学会連合としても梶田会長おっしゃられることと全く一緒ですので、非常に良かったと思いますし、私どもは以前から社会医学系、基礎医学系それから臨床医学と非常に医学の中では幅広い人たちの集まりではあるんですけれども、しかしそうはいっても学術会議さんと比べたら全然範囲が違うと、以前からそういった意味では、共同で一緒に何かできないのかなという気持ちは実はありました。我々は同じ問題を抱えているんですよね。ある意味、小さく細分化された分断化された組織の中で、国民は一つなんだと、連携をして国民にわかりやすい、なるほどと納得していただける。それこそ我々の本当の使命ではないか。
 でも感染症パンデミックといったら100年単位で繰り返しているわけですよね、地球上で。だからこれが緊急というのか、普段の準備というのか、本当の意味での危機管理というのは起きる前にやるべきだ。我々とすれば少なくとも10年前にははっきりと態度を明確にして提言までまとめていたという事実があるんですけれど、でもそれができなかった理由はどこにあるのか、なぜそれができなかったのか。
 例えば今回の病床の逼迫。全世界どこを比べても日本ほど病床数はないんですよ。だけども日本の方が早くお手上げ状態になっているという、それはわかりませんけども、物理的にないのか、それをうまく稼働させるようなマンパワーがないのか、あるいはそういうことを稼働させるようなシステムが準備されていないのか、考え直さなければならないんだというふうなことを教わったということだと思う。そういった意味では今はピンチということもありますけれども、これは本当にチャンスなんですよ。なかなかできなかった硬直化された我が国において、これをこのままでいかんというふうなことを多くの国民が認識し、本当に我々は大切なんだということを改めて知るチャンスだと思うべきじゃないかなと。
 未来のために今準備すべきことをどうしましょうかというのは、アカデミアだと思うのね。

(梶田会長)
 そう。我々はそれを発信し続けないといけないですね。

(門田会長)
 これがアカデミーだと思う。

(梶田会長)
 学術として、あるいはアカデミーとして、このような緊急の事態に対応するにはどうしたらいいかというのを、私たち自身が真剣に考えなきゃいけない。学術が様々な社会課題に対して、発信をすることが求められている。そういう時代になってきているので、学術会議として今後しっかりと対応していくようなそういう組織への変革ということも、今後考えていく非常に警告をいただいたと思っています。それにしっかり対応していきたいと思っています。

(門田会長)
 トータルの人間としてのいろいろな苦しみ、悲しみ、そして生死という問題も出てくる。何かの苦しみを持っていたら、その苦しみを理解してあげるのはお医者さんだと思うけれど、これが特殊な技術を持っているから見られるのか、そういう技術は技術として必要なところもあるけれど、それプラス、いっぱい幅広い人間を人間として見るということを人間として見ようと思うと、経済的にどうなんだということも当然入ってきますよね。経済的な問題も入ってくる、たぶん政治的な法律的なことも入ってくる。あるいは文学的な要素も入ってくる。というふうなのは、実は我々の領域というのはそんなに特殊なことではなくて、学術会議さんとひょっとしたらテリトリーどうなんだと、人間というものを相手にしたおかげで、ちょっと先生の物理のところまでいきませんでしたけど。そういう意味では我々の協議の場にも実は学術会議の領域をどんどん取り入れなきゃいかんのではないか。というふうな感じさえもする。そうするとこれから先というのは、いろいろな組織があるんですけれども、もっともっとうまく融合させるために、新たな組織づくりも考えていかないといけないと、ぜひうまくやっていきたいなと思う。


日本学術会議の新型コロナウイルス感染症に対する取組

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