梶田日本学術会議会長からのメッセージ「眞鍋淑郎先生のノーベル物理学賞受賞を祝して」

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眞鍋淑郎先生によるノーベル物理学賞受賞を祝して、梶田会長からのメッセージを公表しました。(令和3年10月27日)


(梶田会長)
 この度、眞鍋淑郎先生が、ドイツのクラウス・ハッセルマン名誉教授、イタリアのジョルジョ・パリージ教授とともに、ノーベル物理学賞を受賞されました。先生の御受賞を心よりお慶び申し上げます。この度の受賞を、日本学術会議会長として大変誇りに思います。
 眞鍋先生の今回の受賞は、大気中の二酸化炭素濃度と気候変動との関連について物理モデルに基づきコンピューターを用いて予測されたもので、大気大循環と海洋大循環を組み合わせた大気海洋結合モデルの開発により、地球の気候の形成と変動のメカニズム及び人類が気候に及ぼす影響に関する知識の基礎を築いた業績が高く評価されたものです。
 気候変動の定量的な予測を可能とした眞鍋先生の業績は、今や全人類共通の課題となっている気候変動に関する基礎的な研究として、複雑な地球の気候がどのようなメカニズムで成り立っているのかという本質を見抜いてモデル化し、温室効果ガスの増加による地球温暖化を物理法則に基づく数値シミュレーションによって初めて明らかにされたもので、まさにノーベル賞にふさわしいものです。アメリカに拠点を移されてからも、日本の研究者を気にかけてくださり、日本の気候モデル研究の推進にも様々な側面から御尽力いただきました。
 眞鍋先生におかれては、引き続き研究の第一線で御活躍いただくとともに、後進の育成や学術界及び社会に対する発信にも力を発揮していただきたいと思います。
 今回の眞鍋先生の受賞を機に、カーボンニュートラルに関する科学研究と対策の実行の重要性を改めて認識するとともに、優れた若手研究者を育成し、そうした人材が活躍できる研究環境を整備していく必要性を痛感しています。日本学術会議においては、カーボンニュートラルや研究力強化に関する議論を進めているところであり、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の各分野の横断的かつ総合的な取組を通じ、我が国の科学者を代表する機関として、その役割のより良い発揮に向けて力を尽くしてまいります。

令和3年10月15日
日本学術会議会長 梶田 隆章


日本学術会議会長談話「眞鍋淑郎先生のノーベル物理学賞受賞を祝して」は以下のファイルをご覧ください。
日本学術会議会長談話「眞鍋淑郎先生のノーベル物理学賞受賞を祝して」(PDF形式:131KB)